神奈川県土地家屋調査士会

発掘!失われた基準点!

【目的】

筆界の専門家とは、どうあるべきかを検討するため、筆界が出来た日を考え地租改正時の原始筆界を復元し、GNSSを利用した基本三角点等からの測量により地積測量図を作成する。地積測量図は今後、管理や取引において重要な役割を果たすため保存行為として登記できるように検討したい。現在の不動産登記法では保存行為として地積測量図を備え付けるには地積変更・更正、分筆の申請が必要となり、地積が変わらない場合は地積測量図を備え付ける保存行為が出来ないので、地積が変わらなくても地積測量図が備え付けられるよう検討する。また、復元した原始筆界を基礎として周辺の 14条 4項地図とドローンによるオルソフォトを重ねて筆界の検討をする。

【経緯】

神奈川県では登記をする上で、基本三角点等が周辺に現存していることは少ない。よって任意座標による恒久的地物からの測量が多数を占める。 少子高齢化時代に突入し、相続や空き家等の観点から筆界の管理が重要となってくると思われる。基本三角点等からの測量による地積測量図を備え付けることにより、管理が容易となる。現行法では筆界の確認が出来ても公簿地積と実測地積に差がないと地積更正登記を受け付けてもらえない。

【目指すもの】

原始筆界の正確な復元及び基本三角点等からの測量による地積が変わらない地積測量図の備付の実施による保存行為。
ドローンを利用した筆界特定の検討方法。

【登記制度について創造されたもの】

現行法にない地積に更正がなくとも地積測量図を備えることによって、境界の管理・担保・保全を目的とした。また、ドローン測量によって図上での筆界特定並びに地上精度2cm級の14 条 1 項または4 項地図作成及び3D地図作成による土地利用の利便性を図るオープンデータの構築。

【創造されたものを活かすには】

地積測量図備付については、実績と法務局との協議及び理解が必要だと思います。ドローンによる 14 条1 項または 4 項地図の作成についても同じく法務局との協議及び理解が必要かと思います。 3D地図についてはオープンデータとして公開することにより利便性を図ることが大事だと思います。

外国人遊歩規定図における【測点番号40】※外国人遊歩規定とは、開国後の日本が、横浜、箱館、神戸、長崎、新潟の開港場ついて、外国人の行動範囲を定めた規定
旧土地台帳

旧公図(左)と限公図(右)

地積測量図
地積測量図
地積測量図
現登記簿
現登記簿

【事業経過と結果】

神奈川県教育局を通じて、吾妻山公園管理者の二宮町へ添付資料の登記簿につき地積更正登記や境界標の設置、ドローン測量実施の許可を取付中である。

担当窓口:二宮町教育委員会教育部生涯学習課