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土地家屋調査士法が改正されました(令和2年8月1日)


 令和元年6月12日、土地家屋調査士法の一部を改正する法律が公布され、本年8月1日から施行されることとなりました。
 この改正法においては、近時の土地家屋調査士制度を取り巻く状況の変化を踏まえ、専門職者としての使命を明らかにする規定を設けるとともに、懲戒権者を法務局又は地方法務局の長から法務大臣に改める等の懲戒手続に関する規定の見直しを行うほか、社員が一人の土地家屋調査士法人の設立を可能とする等の措置を講じています。
 今回の改正の主な概要は次のとおりです。※赤字が改正部分です。

使命の明確化

(土地家屋調査士の使命)
第一条 土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資することを使命とする。
 第1条においては、目的規定から使命規定に改正され、「土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資することを使命とする。」と言い改められ、「土地の筆界を明らかにする業務の専門家」という文言が追加されたことは、今後の土地家屋調査士の進むべき道を示していると感じています。また、「国民生活の安定と向上に資する」ことが私たちの使命として明記されたことは、業務を通じて社会に貢献していく姿が評価されたものであり、将来は国民から更に期待される職業となることを示唆しています。

懲戒手続の適正・合理化

(調査士に対する懲戒)
第四十二条 調査士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、法務大臣は、当該調査士に対し、次に掲げる処分をすることができる。
 この改正は、懲戒権者を「法務局又は地方法務局の長」から「法務大臣」に変更することで、多様な事案について、法務大臣の一元的な指揮の下で、より適正・迅速な懲戒を実現することを目的としています。

(除斥期間)
第四十五条の二 懲戒の事由があつたときから七年を経過したときは、第四十二条又は第四十三条第一項の規定による処分の手続を開始することができない。
 この改正は、懲戒事由の発生から7年経過後は、懲戒手続を開始しない制度(除斥期間)を新設し、防御のための長期にわたる資料保管等の負担を軽減することを目的としています。

(懲戒の手続)
第四十四条 
3 法務大臣は、第四十二条第一号若しくは第二号又は前条第一項第一号若しくは第二号に掲げる処分をしようとするときは、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
 この改正は、戒告処分(※)においても聴聞手続を必須にすることで、戒告処分の影響に鑑み、手続保障を充実することを目的としています。
 (※)戒告処分とは、再びあやまちのないよう戒める処分であり、業務停止等の効果はありません。

(調査士法人に対する懲戒)
第四十三条 調査士法人がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、法務大臣は、当該調査士法人に対し、次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 二年以内の業務の全部又は一部の停止
三 解散
2 前項の規定による処分の手続に付された調査士法人は、清算が結了した後においても、この章の規定の適用については、当該手続が結了するまで、なお存続するものとみなす。
 この改正は、清算が終了した土地家屋調査士法人への懲戒を可能にすることで、清算結了による懲戒逃れを防止することを目的としています。

一人法人の可能化

(解散)
第三十九条 調査士法人は、次に掲げる理由によつて解散する。
一 定款に定める理由の発生
二 総社員の同意
三 他の調査士法人との合併
四 破産手続開始の決定
五 解散を命ずる裁判
六 第四十三条第一項第三号の規定による解散の処分
七 社員の欠亡
 この改正は、これまで土地家屋調査士法人の設立には二人以上の社員が必要であり、社員が一人になった場合で、6か月以内に社員が二人以上にならなかった場合、解散しなければなりませんでしたが、社員が一人の土地家屋調査士法人の設立を可能とすることで、 法人運営に関する多様なニーズに対応することを目的としています。

法改正に関する意見等

 今回の法改正に関する会長声明や座談会等について掲載します。

土地家屋調査士法の一部を改正する法律の施行(会長声明)

 令和元年6月12日、土地家屋調査士法の一部を改正する法律が公布され、本年8月1日から施行されることとなりました。
 この改正法においては、近時の土地家屋調査士制度を取り巻く状況の変化を踏まえ、専門職者としての使命を明らかにする規定を設けるとともに、懲戒権者を法務局又は地方法務局の長から法務大臣に改める等の懲戒手続に関する規定の見直しを行うほか、社員が一人の土地家屋調査士法人の設立を可能とする等の措置を講じています。
 この改正に当たっては、日本司法書士会連合会とともに関係機関との協議を続けてきました。特に第1条においては、目的規定から使命規定に改正され、「土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資することを使命とする。」と言い改められ、「土地の筆界を明らかにする業務の専門家」という文言が追加されたことは、今後の土地家屋調査士の進むべき道を示していると感じています。また、「国民生活の安定と向上に資する」ことが私たちの使命として明記されたことは、業務を通じて社会に貢献していく姿が評価されたものであり、将来は国民から更に期待される職業となることを示唆しています。更に、次の事項について格段の配慮をすべきである、とした附帯決議の一つに「土地家屋調査士の実務能力の向上のため実施される各種の研修制度について、その一層の充実に向けて協力すること。」とあり、研修の充実を決議いただいています。依頼者の信頼に応えるためにも、土地家屋調査士一人一人の資質の向上がなんといっても基本です。
 私たち土地家屋調査士は、これからも国民の期待に応えるべく、その能力の向上に努めるとともに、隣接法律専門職としての高い意識と誠実な行動に努めてまいります。
令和2年8月11日
日本土地家屋調査士会連合会
会長 國吉 正和

座談会「法改正と土地家屋調査士の役割」

 令和2年1月10日(金)、土地家屋調査士会館において座談会を開催しました。座談会の模様は現在発売中の『土地家屋調査士白書2020』に掲載されております。

登壇者(肩書については座談会当日のものです)
 小野瀬 厚 氏(宇都宮地方・家庭裁判所 所長)
 國吉 正和  (日本土地家屋調査士会連合会 会長)
 鈴木 泰介  (日本土地家屋調査士会連合会 副会長)