福岡土地家屋調査士会

【目的】

福岡県土地家屋調査士会では、近年多く発生している自然災害に対し、不動産取引において広く利用されている、法務局備え付け図面にハザードマップ等の土地情報を掲載することにより、事前に関係者へ情報を周知することにより、土地家屋調査士の専門性をアピールすることを目的とした。

【経緯】

コロナ過において、登記制度創造プロジェクトの実行を考えた際、福岡会の会員全員で出来るような、イベント的事業を遂行することは困難であると考え、近年全国で多く発生している災害に対し、防災や減災に役立つものは何かを考え、土地家屋調査士が 日々作成している、地積測量図、建物図面にその情報を掲載できないかを考えた。

【目指すもの】

掲載する地積測量図、建物図面は、不動産取引や土地活用に際しては必ず一度は、目にする図面であり、その中に様々な情報を付加することで、防災、減災への助けとなり、 土地家屋調査士として社会貢献を果たす。

【事業経過と結果】

場所の選定を行い、現場確認及びドローンにより空撮を行った。今回の企画としては各図面に QR コードを掲載し、そこで付加図面を管理するようする方法をとった。掲載する図面として、地積測量図には、測量時の現地状況わかる現況図、現況写真、後日境界標識の移動や埋設状況が確認出来るよう境界標写真、防災マップ、都市計画図、路線 価図、文化財マップ、空中写真を掲載し、建物図面においては、建物所在図に基準点を記載して位置、標高を表示した。また、後日の表題変更登記の際などに目安となるよう空中写真、防災情報マップを掲載した。
作成後の感想としては、付加図面の掲載場所 ( データサーバー ) の管理が一番の問題点であると感じた。今回のケースでは便宜、個人のサーバーに掲載しているが、今後のメンテナンスや、機械の更新、廃業等の際、誰がデータを引き継ぎ、それを管理していくかは今後の課題である。また、付加図面については、今後いくらでも種類を増やし取り入れることは可能だが、防災マップや、路線価図などを掲載することで、思惑とは逆に不動産取引を阻害することも考えられるので注意が必要と感じた。

【登記制度について創造されたもの】

コロナ過において、全会員で取り組むことは困難な状況であった為、プロジェクトには必要最小限の人員にて取り組んだ。不動産登記法や土地家屋調査士法の規定が変わるわけでは無いが、近年実務を行っていると、依頼者は私たち土地家屋調査士に対し、単に正確な土地や建物の面積を算出することだけを求めているのでなく、その物件を購入や売却した後、トラブルに見舞われないか等、不安に思っている場面に遭遇する事が多くなった。土地家屋調査士が作成している図面に何かプラスαの情報が取り込めたら良いと日々感じていたため、誰もが閲覧できる登記所備え付け図面にその付加情報を追加することを企画した。
私たちが、日々思っている『あると便利』という図面を私たち土地家屋調査士自身が作成することが出来れば、土地家屋調査士の認知度も上がり、社会貢献できるものと考えている。
将来、多くの人が、この図面を見れば大丈夫と言ってもらえるような時代が来れば、土地家屋調査士の信頼が上がるものと確信している。

【創造されたものを活かすには】

付加情報を掲載する物は、法務局備え付け図面のように、誰もが閲覧でき紛失しない保管方法が取れればベストだと考えているが、先ずは依頼者に交付する成果物に付加情報を追加し、土地家屋調査士が広く認知され、その結果として社会貢献につながることが、大切なことだと考えている。土地家屋調査士法の範囲外の作業とは分かっているが、依頼者が望んでいるもの、または、不安に思っている事に答えを出すことが私たちの役目だと考えている。