静岡県土地家屋調査士会

開会時来賓・幹事登壇

【目的】

静岡県内において土地の境界に係る業務に携わる関係機関、関係団体(以下「関係機関等」という。)が、その諸問題について情報を交換し、境界に関する認識を共有することにより境界の明確化及び境界 をめぐる紛争の予防に資することを目的として、静岡県境界問題連絡協議会(以下「協議会」という。) を昨年度設置しました。
また、本協議会は、不動産の表示に関する登記の認識を関係機関等と確認し合い、従来処理が困難な 特殊な登記処理の事例等を県内関係機関等で共有することで国民の権利の保全を図り、もって取引の安 全と円滑に資することを目的とします。同時に土地家屋調査士が境界(筆界)に関する専門家であることを県内の関係者に情報発信していきます。

WEBにより協議会に参加する寳金顧問

【事業内容】

1.「境界に関する質問の募集について」
協議会会員から境界に関する質問を募集します。( 例えば、用地買収に伴い公図と現地が一致 していないため、登記処理に困難をきたしている。山林地域の用地測量に伴い、隣接者等が未相続で境界の確認業務が出来ない。過去に地籍調査を実施した地区で法 14 条地図として成果が収 められてはいるが、現地との測量誤差が大きく、その後の境界確認処理が困難な地域がある等 )
質問事項がある程度まとまった時点で、幹事会の前に静岡地方法務局に相談を掛けて検討していただいた上で幹事会に臨みます。
2.「幹事会の内容について」
幹事は、年2~3回の幹事会を計画し、会員から出された質問に対し、幹事会にて内容の検討を行います。必要に応じて(希望があれば) 質問した会員に事情説明等の為に同席頂くことも検討します。幹事会にて、境界問題の処理方法について方向性が定まった場合は、協議会において回答を報告します。
3.登記制度創造プロジェクト「境界問題連絡協議会について」
境界問題連絡協議会では、幹事会に出された質問の他、事前に受け付けた質問に対して、幹事会より回答し県内の事例としていきます。また質問を出された会員と同様の事例をどのように解決したかについて、同様の経験のある関係機関と意見交換を求めます。必要に応じ顧問にも意見も求め、当問題についての解決法等を県内の関係者で情報共有を行います。
本年度は、コロナウイルス感染症の状況を鑑み中止も検討しましたが、土地家屋調査士制度制定 70 周年にあたり、境界に関する業務及び登記に携わる県土木事務所をはじめ県各担当課および県内の市町担当課をスタジオとリモートでつなぐ新しい手法で開催することとしました。
スタジオには、静岡地方法務局、東海財務局静岡財務事務所、静岡県公共用地課、静岡県弁護士会、静岡県土地家屋調査士会の各責任者(幹事代表)を招き Web 会議形式で計画します。

【登記制度について何が創造されたか】

県内の処理が困難な表示に関する登記についての事例等を、静岡地方法務局も巻き込んで 解決の方法を模索した上で「静岡県境界問題連絡協議会」において、その登記処理の手法を公示することにより、新たな登記ルールを策定していくことができる。
今般、当プロジェクトをコロナ禍でも Web 形式で実施したことにより、法務局のみならず 静岡県、県内の市町からも土地家屋調査士会に対し大きな信頼を勝ち取ることができた。
「静岡県境界問題連絡協議会」の幹事および事務局を土地家屋調査士会が務めることにより、県内の境界に係る業務に携わる関係機関、関係団体に対し、土地家屋調査士が境界(筆 界)の専門家であることを広くアピールすることができると同時に表示に関する登記事務についても法務局に対し土地家屋調査士の職能をいかして協議することが可能となった。
登記制度は、法務局行政の指導で運用されているが、依頼者との懸け橋である土地家屋調査士が、県内の関係機関ともコンセンサスをとりながら、本来一定の条件のもと意見を述べることができる運用が望ましいと考えられる。
このプロジェクトにより、登記行政に係る関係機関(県、市町等)とも意見交換を行いながら実務上の新しい登記制度のシステムを創造していく土台ができたと判断している。

【創造されたものを活かすには】

今後もこのプロジェクト「境界問題連絡協議会」を継続することにより、さらに土地家屋調査士の県内での信頼の確保と専門職能を PR していけると思っている。
願わくは、このプロジェクトを全国展開し、筆界の専門家としての土地家屋調査士の社会的な地位の向上を目指したいと考える。
そのためには、当会においてこのプロジェクトに対する実績を積み、他県の調査士会とも連携を図り、的確に情報発信していける組織の枠組みが必要だと考えている。